2020年のワイン生産量は4,470万hlの見通し

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2020 No.2020-158
2020年のワイン生産量は4,470万hlの見通し

フランス農業・食糧省統計局(SSP)が11月1日に発表した予測によると、2020年のフランスのワイン生産量は4,470万hlで、2019年と比べ6%の増加、過去5年間の平均に近いとの見通しだ。シャラントでは9月末の降雨の影響で、収穫量が前回の予測より上方修正された。

2020年11月1日に発表された予測によると、2020年のワイン生産量は4,470万hlとなる見通し。

2020年のフランスワインの生産量は、過去5年間では2017年に次いで低かった2019年と比べ6%の増加で、2015~2019年の収穫量の平均を多少上回る見通しだ。

AOPワインの生産量は前年とほぼ変わりないが、過去5年間の平均は下回る見通し(-5%)。新型コロナウィルスの世界感染で経済が悪化したため、シャンパーニュやアルザスのように、生産者間で収量の大幅削減に合意した産地もある。そのためシャンパーニュでは、一部のぶどうは収穫されなかった。

シャラントの生産量は、収穫ピーク時期の直前の9月末に雨が降ったため、前回の予測から上方修正された。ボルドーでは前回の予測時より土壌の乾燥が進んだため、生産量は下方修正された。南西地方でも旱魃のため生産量は増えなかった。南東部のヴァール県、ドローム件、アルデッシュ県では、霜で収穫に影響が出た。

収穫は、ほぼ全てのワイン産地で8月にスタートし、2019年と比べかなり順調に進んだ。Grand-Est地域圏(アルザス‐ロレーヌ、シャンパーニュ‐アルデンヌ)では過去最も早い収穫となった。

ルーションやボルドー地方、ヴァール県では春にべと病で被害が出たが、乾燥した夏のおかげで病気の広がりは抑えられた。

「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は「AOPワイン」以外の全てのカテゴリーで前年に対し増加している(「AOPワイン」はほぼ増減無し)。過去5年間の平均に対しては「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」では増加、「AOPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」では減少となる見込み。
カテゴリー別生産量予測 / AOPワイン:対前年増減なしの1,947万hl(過去5年平均に対し5%減)、蒸留酒向けワイン:対前年13%増の888万hl(同7%増)、IGPワイン:対前年7%増の1,325万hl(同8%増)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年23%増の310万hl(同6%減)。

各地の状況: ( )内の数字は「2020年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(203万hl、-16%、-20%)
シャンパーニュでは収穫が8月中旬にスタートし、2011年を抜き過去の歴史の中で最も早い収穫となった。豊作だったにもかかわらず、AOPワインの生産量は低く抑えられ昨年を下回った。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(216万hl、+14%、-5%)
ブルゴーニュでもボージョレでも収穫のスタートは8月中旬と早く、猛暑のため急いで行われた。ボージョレでは2003年に次ぐ早い収穫となった。花ぶるいに続く旱魃、そしてぶどうの日焼けなどが、特にブルゴーニュの赤ワイン(ピノノワール)の収穫量に影響を与えた。それでもブルゴーニュ・ボ-ジョレを合わせた全体の生産量は非常に低かった昨年は上回るが、過去5年平均には届かない見通しだ。
アルザス(110万hl、+4%、+-0%)
収穫はほぼ終了しており、2017年に並んで過去最も早い収穫となる。旱魃にもかかわらず生産量は対前年を上回る見通し。しかしAOPワインに限ると、生産量は対前年を下回る。

サヴォワ(10万hl、+4%、-4%) ジュラ(10万hl、+85%、+23%)
サヴォワでは収穫は8月末に始まり、既に終了している。ジュラでは、旱魃で当初の予測ほどではなかったものの、霜で甚大な被害を被った2019年と比べ収穫はV字回復した。

ロワール(302万hl、+38%、+19%)
例年よりほぼ1ヵ月早い8月末に収穫が始まり、9月末にはほぼ全てが終了した。ペイ・ド・ラ・ロワール地方では、旱魃が予測よりひどかったため、10月に生産量が下方修正された。旱魃やぶどうの腐敗で収穫が早まり、サントル地区では収穫量の増加が抑えられた。

シャラント(898万hl、+14%、+7%)
9月末の降雨の影響で、収穫量が前回の予測より上方修正された。収穫は、過去10年平均より2週間早い9月中旬に始まった。

ボルドー(486万hl、-8%、-9%) 南西地方(331万hl、-1%、-7%)
ボルドー: 収穫は平年より約15日早く推移。旱魃の影響で、生産量は9月に下方修正された。南西地方: 収穫は終了している。旱魃で収穫量は抑えられた。ロット・エ・ガロンヌ県のビュゼ村では6月の雹でブドウ畑が甚大な被害を受け、生産量は対前年を下回る。ジェール県でも8月の雹で、同じく大きな被害を被った。

ラングドック・ルーシヨン(1,318万hl、+8%、+8%)
8月に恵みの雨が降ったエロー県では、生産量が上方修正された。開花時期からべと病にひどく悩まされ続けたルーションが、唯一生産量が対前年を下回った地域である。ラングドック・ルーシヨン地方全体では、生産量は対前年を上回る。

南東部(492万hl、-2%、-4%)
昨年より2週間早い収穫となった。ヴァール県のぶどう畑では春の霜、雹、べと病などで被害が発生し、生産量は対前年を下回る見通し。アルデシュ県、ドローム県では霜や旱魃の被害をこうむった。全体の生産量は対前年を下回る見通しだが、減少率は当初の予測よりは小さい。

コルシカ島(34万hl、+20%、+6%)
収穫は長い期間にわたって行われた。開花期の天候が良かったため、ぶどうは昨年より豊作だった。生産量は対前年を上回る。

2020年11月25日